となりの認知症

伝わらないこと、それは始まりです認知症と、希望をもって向き合うために

 

  西川 勝

となりの認知症

2013524日刊行 四六判・200ページ

本体価格1500円 ISBN978-4-906791-15-6

 

■ 答えのかえってこない、しじまを前にして、どこに心の拠り所を求めればよいのでしょう。どうすれば「関係」をつくれるのでしょう。
■ そこには言葉を超えたコミュニケーションの可能性があり、生きられた豊かな時間の堆積との交感があります。その苦しさを、終幕ではなく、お互いに変わり合う、新しい経験の場にするために。
■ 精神科や高齢者介護の現場での二十数年におよぶ経験を踏まえて、「患者」ではない、・その人・に寄り添うとはどういうことかを考えます。
■ ダンスを通した認知症高齢者との対話の実験(現代舞踏家・砂連尾理)や、文学・音楽など諸ジャンルとの共働によって、沈黙に豊饒な匂いと音を聞き分ける方法を探ります。

 

目次

【目次】
 序章 となりの認知症
     玉手箱/名札/揺らぎ/お地蔵さん
      老いという宝物/CTフィルム/脈
      底にある希望/食べる/「ありがとう」
      手と手/となりに居る
第1章 木陰で老い人の不思議な語りを聴く
第2章 とつとつダンス
     「伝わらないこと」のおもしろさ           
      とつとつ日記(砂連尾理)
      とつとつダンス・メモ(砂連尾理)
      声の記述 
      となりのトリックスター         
第3章 「伝わらない」ことの魅力
     伝わらないことのゆたかさ
      
第4章 介護は感情労働か 

 

著者紹介

西川 勝(にしかわ・まさる)
1957年生まれ.精神科病棟での見習い看護師を皮切りに、人工血液透析、老人介護施設と職場を移しつつ、二十数年にわたって臨床の現場での経験を積む。大阪大学大学院文学研究科臨床哲学博士前期課程修了。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授.現在は、「認知症ケア」に関わるコミュニケーションの研究・実践を、ダンスワークショップ、哲学カフェなどの場で取り組む。主要著作、『ためらいの看護』(岩波書店、2007年)。