グノーシスと古代末期の精神 全2冊 Ⅱ 神話論から神秘主義哲学へ

伝説の名著、遂に完訳!

ハンス・ヨナス

グノーシスと古代末期の

精神 2

 大貫 隆

 

第二部 神話論から神秘主義哲学へ

 


20151023刊行 5判・上製490頁本体6400 

ISBN978-4-906791-50-7 C1014

 

 

■ 神話となった救済の物語から、神秘主義の哲学へ。古代末期の精神に激震を与えた集合的な覚醒の経験に発して、その革命的な意義を表現する体系的思考へ。グノーシスと名づけられたその精神の歩みを、ユダヤ人哲学者フィロン、ギリシア教父オリゲネス、そしてプロティノスの新プラトン主義へとたどる。

 

■ 見えないもの、語りえないものに出会った初発の衝撃は、その後、どのような逆説に面することになったのか。存在論的に解明されたそのドラマこそ、近代の根となった精神の命運を語っている。

目次

序 論 客観化とその形態変化の問題によせて
第1章 グノーシスの領域における古代の「徳性」
        概念の解体
第2章 「終末」の先取りとグノーシス的な「徳性」
        概念の形成
第3章 アレキサンドリアのフィロンにおける神認
        識、見神、完成
第4章 後二世紀から三世紀へ、あるいは、神話論
    的グノーシスから哲学的・神秘主義的グノーシスへ
第5章 後三世紀の三つの体系 その1 オリゲネス
第6章 プロテイノスに関する断章

著者紹介

ハンス・ヨナス

1903, ッセルドルフ近郊のユダヤ人家庭に生まれる. 28, M・ハイデガーとR・ブルトマンの下で博士号取得. 35, エルサレムに移住. 40, 英国陸軍が編成した反ナチスのユダヤ旅団に入営し転戦. 42, 母親をアウシュヴィッツで失う. 戦後は, カナダ, アメリカで教鞭をとる. 本書の第一部は1934年刊. 以降, 第二部に収められる諸論考を71年まで書き継ぐ. 93, . 邦訳書:『責任という原理──科学技術文明のための倫理学の試み』(加藤尚武監訳), 『生命の哲学──有機体と自由』(細見和之・吉本陵訳), 『アウシュヴィッツ以後の神』(品川哲彦訳),『回想記』(盛永審一郎・木下喬・馬淵浩二・山本達訳)

大貫 隆

1945年生まれ. 専攻, 新約聖書学・グノーシス主義. ミュンヘン大学にてDr.theol.取得. 現在, 東京大学名誉教授. グノーシス研究の成果として, ナグ・ハマディ文書の翻訳Ⅰ〜Ⅴ(岩波書店, 1997-2010年), 『グノーシスの神話』(1999, 『グノーシス考』(2000,『グノーシス 「妬み」の政治学』(2008)がある.