素数の歌が聞こえる

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数論の鬼才が奏でるなつかしい愛の歌

──この世界のきらめく謎は「とんからりん」

  

加藤和也

素数の歌が聞こえる  

2012年6月22日刊行 B6判 186頁

定価1900円 ISBN978-4-906791-02-6 

 

 数のふしぎな世界へと、歌にのせてナビゲート。数論の最前線に立って、

数々の難問に挑戦してきた著者が、その冒険の魅惑をイメージ豊かに語ります。

日本の昔話や短歌の調べにのせて伝える「数のふしぎ」、

 それは人と世界のくめどもつきない神秘それ自体です。自伝的研究日録。

 

目次

はじめに 数のおもしろさ
序章 無限遠点は遠い。
  Ⅰ 素数の歌
第1章    宇宙が先か素数が先か

  ■ p進数の歌 ■
第2章    素数の歌は愛の歌

  ■平方剰余の相互法則の歌■

  間奏の章1 数論の現在

  間奏の章2 数論幾何の発展

  Ⅱ 恋する数
第3章    心高ぶるゼータのふしぎ
      ──岩澤理論の拡張について

  間奏の章3 類体論の一般化について
第4章    イデアル類群の喜び

  素数の歌
素数の歌は とんからりん
とんからりんりん らりるれろ
耳を澄ませば 聞こえます
楽しい歌が聞こえます

著者紹介

かとうかずや●1952年、和歌山県生まれ、整数論における世界のリーダーの一人。東京大学理学部教授、京都大学理学部教授を経て、現在、シカゴ大学教授。2005年には、整数論・数論幾何学の研究に対して、日本学士院賞が贈られている。著書:『解決! フェルマーの最終定理 現代数論の軌跡』(1995)ほか。

立ち読み

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カズさんの編集後記

地球のようにぬくいから

 

  数学は無限遠点恋う心  (加藤和也)

  恋うて焦がれて遥かな旅路(臼井三平)

力を合わせて、数学上の難問に挑戦してきた戦友のお二人による連句のひとコマです。臼井先生が闘病生活を続けておられた頃、少しでも励ましになれば、と始められたとのこと。そう言えば加藤先生、詩人を志した文学少年であったとうかがったことがあります。

  君が好き 地球のようにぬくいから  (臼井)

桁違いのスケールを感じさせる人がいます。「地球のようにぬくい」、そうなんです。加藤先生の人となりを見事に言いあてています。昔風に言えば、ハタと膝を打つところでした。

数論の最先端とは、文字通り人類の最前線でしょう。おそらくそこは空気すら薄いのではないか、と想像してしまうはるかな山頂に立って、「数のふしぎ」を、

そこにある謎の「ぬくさ」を、なんとか伝えようと力を尽くした作品の束、それが本書です。

日本昔話「鶴の恩返し」や安藤昌益の名も出ます。手を変え品を変えなのですが、そこにはまるで作為がない。まっすぐにこの世界の秘密に向かっていく、一点の曇りもない、ふしぎな言葉といえます。

最前線にたたずんでいたのは、孤高の超人でも、マッチョな英雄でもなく、その存在から「おかしみ」がにじみ出る「ぬくい」人でした。