こう読めば、キルケゴールが見えてくる
──哲学史に据えられた虚像を超えて
てってい的にキルケゴール
その1 絶望ってなんだ
中島義道 著
11月25日刊行 四六判・並製 256頁
本体2400円 ISBN978-4-910154-38-1 C0010
『死にいたる病』を舐めるように読む。その逐一を、自らの神経繊維に流し、心の襞で受け止める。そこに浮かび上がる、哲学史上のそれとは異なる、キルケゴールの思想と闘争とは?
絶望とは精神の階梯、「神」に目を向けた人間の避けて通ることの許されない道程なのだ。『死にいたる病』のすべての行文に耳を澄まし、無神論やニヒリズムの祖型の一つとされ、実存哲学の源に据えられた思想家像の虚構性を問う。中島 = キルケゴールのユニークな彫像。
目次
その一 絶望ってなんだ 目次
はじめに キルケゴールを読むということ
序章 死と原罪──緒言を読む
第一章 絶望の諸相と死──〔A 死にいたる病とは絶望のことである〕
〔A 絶望は精神における病、自己における病であり……〕
〔B 絶望の可能性と現実性〕
〔C 絶望は「死にいたる病」である〕
第二章 絶望の秘密──〔B この病(絶望)の普遍性〕
第三章 意識と絶望1──〔この病(絶望)の諸形態〕
一 無限性の絶望と有限性の絶望
二 自己が自己自身になる
三 可能性と必然性
続刊 その二 私が私であることの深淵に
第四章 イロニーの精神と反抗──〔C この病(絶望)の諸形態〕
一 絶望の階梯
二 自己のなかの永遠なもの
三 絶望と地上的なもの
四 直接性の生態
五 イロニーの精神
六 自己についての意識の上昇
七 閉じ籠もり
八 自殺と反抗
九 絶望の弁証法
一〇 反抗者の内面と外面
著者紹介
中島義道(なかじま・よしみち)
1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書),『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『過酷なるニーチェ』(河出文庫), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)『時間と死──不在と無のあいだで』(ぷねうま舎), 『明るく死ぬための哲学』(文藝春秋), 『晩年のカント』(講談社)など.