2012年

4月

06日

風通信1


 

 こんな一節を見つけました。ちょっと、孫引きを、

 

  文学は現在、不毛という災厄に見舞われている。わざわざ分析するだけの

  値打のある著作が一冊でも出ればよい方だ。無気力で生彩を欠いたつまら

  ぬ小説や、生まれる前から死んでいるくだらないパンフレット類おびただ

  しい数の内容見本などが日陰で花咲くのが目につくだけで、ましな書物な

  ど一冊もない。

 

 いえいえ、これは現代の話ではありません。1760年代のパリ、38年後に大革命を控えたフランスのことです。

 『文学年報』にのった、辛口批評家によるまとめ、という点を差し引くとしても、今日ただいまにそのまま通用しますよね。

 

 時あたかも、ジャーナリズムが定着して、時事問題に対する大衆的な関心がひろがり、図書館が整備され、グーテンベルクに始まるメディアの革命がようやく生活者のものになり始めた時代です。

 IT革命が、あれよあれよという間に、メディアの姿を変えてしまった現代と、

よく似た時代の話でもあるわけです。

 

 この引用、実は鷲見洋一先生の作品からの孫引きです。あのモーツァルトが、失意にうなだれて歩いていたパリの風景を描いた一節です。鷲見先生のこのお仕事、私たちぷねうま舎から近刊予定です。ご期待ください。

 

                              カズ