3・11以後 この絶望の国で――死者の語りの地平から

現代世界の骨組みを、その土台から問い直そう

──破滅のシナリオにあらがって

 

 山形孝夫・西谷 修

3・11以後この絶望の国で

  ──死者の語りの地平から

2014221日刊行 四六判上製 240

本体価格2500円 ISBN978-4-906791-25-5 C0014

■ 東日本大震災があらわにしたものは、私たちの日常を支える基盤であり、当たり前の世界の根であった。いまこそ、世界の構造と、それをつくり上げてきた歴史とが、その根源から問われなければならない。

■ 被災地に生きる批判的宗教学者と、グローバリズム(世界化)を問い続ける思想家との対論──死とは何か、社会は死とどのように向き合ってきたのか、「近代」は何を切り捨てることで果てしない進歩と豊かさの幻想を生んできたのか、そして宗教はそこでどのような役割を担ってきたのか。

■ 破局を生きざるをえない被災者に寄り添って、私たちに何ができるのだろう。そして、「破滅のシナリオ」がリアリティを増すこの時代に、生き延びるためのアイデアを、どこに探せばよいのだろうか。

目次

序 章「千年の死」と死者たちの無念  第四章 もう一つのキリスト教

第一章 もう一つの死の物語のために  第五章 国家とキリスト教

第二章 いま、宗教を考える      第六章 現代の戦争

第三章 キリスト教の秘密       終 章 この絶望の国

著者紹介

山形孝夫(やまがた・たかお)

1932年、仙台に生まれる。専攻、宗教人類学。東北大学文学部宗教学・宗教史学科大学院博士課程修了。宮城学院女子大学教授、学長を歴任。著書:『聖書の起源』『レバノンの白い山──古代地中海の神々』『砂漠の修道院』『死者と生者のラストサパー』『聖母マリア崇拝の謎』『黒い海の記憶──いま、死者の語りを聞くこと』ほか。

 

西谷 修(にしたに おさむ)

1950年生まれ。 専攻、フランス文学・思想。 東京都立大学フランス文学科修士課程修了。 現在、東京外国語大学地域文化研究科教授。 著書:『不死のワンダーランド』『戦争論』『夜の鼓動にふれる──戦争論講義』『離脱と移動──バタイユ・ブランショ・デュラス』『世界史の臨界』『「テロとの戦争」とは何か──911以後の世界』『理性の探求』ほか。