一八世紀 近代の臨界―ディドロとモーツァルト

二人の天才の秘密──半世紀の蓄積をかけた、著者渾身の「共時性の研究」

 

一八世紀 近代の臨界 

    ディドロとモーツァルト

 

鷲見洋一

 

 

7月25日刊行 本体価格4300円 四六判・上製 400ISBN978-4-906791-94-1 C1098 

 

  中世にも近代にも収まらない、歴史を超えた二つの創造、モーツァルトの音楽と『百科全書』。一八世紀に交差する二つの足跡をたどり、精密な読みをとおして創造的な跳躍の秘密に迫る。

 

  一つは、時代を突き抜ける、哀しみの透明な調べにおいて、一つは、世界と量りあう、知の巨大な集積において……どちらも因果の物語や進歩の観念、つまり歴史叙述からこぼれ落ちる次元を開いてくれる。いま・ここに徹することで現れる異次元の眺望、音楽と論理の先端で、「世界図絵」を探る。

目次

序 章 「むすぶ」ことと「ほどく」こと 

Ⅰ ディドロ読み歩き                

  第一章 不在についての考察            

 第二章 ソフィー・ヴォラン書翰を読む       

 第三章 ディドロの『ラ・カルリエール夫人』を読む

 第四章 ふたつの国内旅行             

 第五章 『ラモーの甥』の昔と今          

 第六章 『ラモーの甥』の末裔たち         

Ⅱ モーツァルトのいる風景

 第一章 文学に見る一八世紀

 第二章 怪物的神童とパリ

 第三章 喪失と自由

 第四章 国王さまざま

 第五章 奇人と天才の話

  終 章 「いたみ」と「かなしみ」のトポス

著者紹介

鷲見洋一(すみ・よういち)

1941年生まれ. 専攻, 18世紀フランス文学・思想・歴史. 慶應義塾大学大学院博士課程修了. モンペリエ大学院博士課程修了. 慶應義塾大学文学部教授. 同大学アート・センター所長を経て, 現在, 慶應義塾大学名誉教授.

 

著書に『翻訳仏文法』上下(1985, 87, 『『百科全書』と世界図絵』(岩波書店, 2009), 編著に『モーツァルト』全4巻(共編, 岩波書店, 1991, 訳書にロバート・ダーントン『猫の大虐殺』(共訳, 岩波書店, 1986)ほかがある.