味わいの現象学

AI万能幻想に抗して──知覚論から、「生きてある」ことの哲学へ

 

味わいの現象学

  知覚経験のマルチモダリティ

 

        村田純一

 

 

201935四六判・上製 340頁 本体3400

ISBN978-4-906791-99-6 C0010

 

「味わう」、この日々のシンプルにして多様な経験を、言葉で追跡するとどんなことになるのか。味覚、嗅覚、触覚、視覚をはじめ、あらゆる感覚が参加する、その複合的な体験の記述は、時として逆説にすら当面させることになる。リアルということの真実に迫る、現象学的記述の冒険。

 

世界に住み込む。「生きてある」ことは、限りなく複合的で多元的な、分厚い体験の層を土台としている。そこには、身体から第六感まで動員しての、神秘的ですらあるリアリティの劇場があるのだ。「脳」が考え、「意識」が生きているのではない。「生」の現象学という永遠のテーマへ。

目次

序 章 味わうという多元的で相互浸透的な経験

第1章    知覚のマルチモダリティ

第2章    感覚のスペクトル

第3章    味わいの経験

第4章    匂いの世界

第5章    色と音

第6章    触覚と痛み

 

終 章 世界に住み込むということ

著者紹介

村田純一(むらた・じゅんいち)

 

1948年生まれ. 専攻, 現象学, 知覚論, 科学哲学. 現在, 立正大学文学部哲学科教授, 東京大学名誉教授. 著書 :知覚と生活世界──知の現象学的理論』(東京大学出版会, 1995, 『色彩の哲学』『「わたし」を探険する』(岩波書店, 2002, 2007)ほか.