絶望でなく希望を

ゼロからの出発は可能か。いまこそ希望を!   

 

絶望でなく希望を 

   ──明日を生きるための哲学

   

末木文美士 

 

 

20235月30日刊行 四六判・並製 240

本体2300円ISBN978-4-910154-910154-44-2 C0010

 

 

薄暮に鎖された時代、その閉塞を超えるために、日本中世に目を凝らし、死者たちの声に耳を傾ける。ポスト近代を突破する〈冥顕の哲学〉と〈菩薩の倫理学〉の構想、いま・ここの、日本という風土を掘り下げつつ、絶望への安息ではなく、希望を求めての跳躍の手がかりを探す。

それはまた、理性と科学が置き去りにした、言語化・記号化しえないものへと接近する挑戦でもあった。

目次

 序章 コロナ/戦争/カルト

Ⅰ 生き方の模索――死者とともに

第一章 鬱の時代をどう生きるか

第二章 告発し、和解する死者

第三章 終末論と希望

間奏曲 思想史/哲学史の変革

――西洋近代主義から世界哲学へ

Ⅱ 新たな哲学/倫理学の構築

第四章 宗教に基づく倫理の確立を

第五章 いま日本で哲学すること──〈冥顕の哲学〉の構想

第六章 ポスト近代と菩薩の倫理学

終章 未来へ向けて――百年後の幸福

著者紹介

1949年生まれ. 1973, 東京大学文学部印度哲学専修課程卒業、1978同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学. 東京大学文学部・人文社会系研究科教授を経て、国際日本文化研究センター教授]、総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻教授併任。現在, 東京大学, 総合研究大学院大学名誉教授.

著書:『解体する言葉と世界──仏教からの挑戦』(岩波書店, 1998,『明治思想家論──近代日本の思想・再考 『近代日本と仏教──近代日本の思想・再考』(トランスビュー, 2004, 『他者/死者/──哲学と宗教のレッスン』(岩波書店, 2007), 『仏典を読む──死から始まる仏教史』(新潮社, 2009), 『哲学の現場──日本で考えるということ』(トランスビュー, 12), 『草木成仏の思想──安然と日本人の自然観』(サンガ, 15, 『思想としての近代仏教』(中公選書, 17), 『冥顕の哲学1 死者と菩薩の倫理学』(ぷねうま舎, 18, 『冥顕の哲学2 いま日本から興す哲学』(ぷねうま舎, 19, 『日本思想史』(岩波新書, 20, 『死者と霊性の哲学』(朝日新書, 22, 『禅の中世──仏教史の再構築』(臨川書店, 22)ほか多数.