2016年

4月

22日

妄犬日記

「王様」と〈犬〉、男と女の関係の底を掘っていく、あぶない愛の歌。

 

妄犬日記

 

姜 信子 絵・山福朱実

 

 

 

 

2016524日刊行 ISBN978-4-906791-57-6 C0093四六判・上製180頁 本体定価2000

 

 

 女と男の間を行き交い、流れてやまない情念の渦を、文と絵で描きとめる現

 代の語り物、愛の絵草紙。

  そのつぶやきは、恐ろしくも、底深いひととひとのかかわりの真実をあらわ

 にし……。

■ 拷問の隠れた美学と従属のひそやかな快楽、この禁断の実が愛することの限

 りない語りを紡いでゆく。犬こそ王様の支配者──サディズムとマゾヒズム、

 支配と被支配の反転にこそ、生きてあるひとの存在のほんとうがひそんでいる。

 

──プロローグより

この世は穴で満ち満ちているのだ、この世は穴でできているのだ、無数の穴に無数の夢が潜んで蠢いているのだ、捕まえてやる、逃すものか、逃すものか、私の夢、私の秘め事、私の噓、私の真実、私の恥ずかしくて忌まわしくて嬉しくてたまらないすべてのこと、それはつまり私そのものなのだ、私が穴に潜んでいるのだ、逃すものか、逃すものか、取り戻すのだと王様は果てしなくきりもなくこの世のこの虚空を満たす無数の穴に向かって中指を差し込んでいくのである。

目次

  目 次

   プロローグ  

    星の教え 

     そもそもの1 またの名を「漠たる王様」

     そもそもの2 またの名を「呪われたるK」

  犬    

     調教 

     指

     考える

     服従

     呟き

     読書

     首輪

     黒い歌1

     ふたたび読書

     におい

     黒い歌2

     手紙 〈拷問〉についていつも考えている女王様へ

      ふたたび服従

     秘密

     女王様より一言

     またもや読書

 

著者紹介

姜 信子(きょう・のぶこ)

1961年横浜市生まれ. 作家. 85, 東京大学法学部卒業. 86年に「ごく普通の在日韓国人」でノンフィクション朝日ジャーナル賞受賞. 著書に, 『ごく普通の在日韓国人』『うたのおくりもの』(いずれも朝日新聞社) 『日韓音楽ノート』『ノレ・ノスタルギーヤ』『ナミイ! 八重山のおばあの歌物語』『イリオモテ』(いずれも岩波書店) 『棄郷ノート』(作品社, 熊本日日新聞文学賞受賞) 『追放の高麗人』(石風社, 地方出版文化功労賞受賞) 『はじまれ 犀の角問わず語り』(サウダージ・ブックス+港の人), 『生きとし生ける空白の物語』(港の人), 『声 千年先に届くほどに』(ぷねうま舎), 『はじまりはじまりはじまり』(羽鳥書店), 訳書に『あなたたちの天国』(李清俊, みすず書房)などがある