土に還る

弔うこと、それはかつて手仕事であった

  ──葬送の歴史は、感染症のそれより古い

 

 

 土に還る

    

     野辺送りの手帖

 

     中島美千代

 

2020722日刊行 四六判・並製 220頁  

本体1800円 ISBN978-4-910154- 07-7 C0095

 

  

    「この村の土になりたい」、この言葉にこもる、いまは遠くなった生き心地を探して山

 を歩き、死者を訪ね、歴史に残る信仰の跡を探った記録です。

     死者を悼み、弔い、見送る……ここには、ある時代と社会の顔が現れます。死者を

 いかに遇し、死とどのように向き合うか、これを考えるために作家は、故郷福井県の山村

 に残る野焼きの習俗を訪ねます。そこには死者の面影を長く「心の手帖」に残し、生きて

 あることの「ぬくもり」を共に抱き合おうとする人びとがいました。

 

     コロナ禍は、死者と生者の距離すらあけようとするのでしょうか。ポスト・コロナで、ぜひ

 回復しなければならないものとは。

著者紹介

中島美千代(なかじま・みちよ)

福井県福井市に生まれる.

著書:短詩型評論『おんなの詩小箱』草苺叢書第7(草苺短歌会, 1994), 『青木繁と画の中の女』(TBSブリタニカ, 1998, 『夭折の歌人 中城ふみ子』(勉成出版, 2004, 『釈宗演と明治──ZEN初めて海を渡る』(ぷねうま舎, 2018.